12月某日
 今日は
窪山輝也(私立虹蛍学園高等部2年5組男子6番)のクラスでクリスマスパーティーを開くことになっている。輝也は明るくお人よしで誰とも馴染める性格である。そして誰よりもこのクラスを愛しているであろう。輝也は今日開かれるパーティーの日が待ち遠しくて仕方なかったのだ。

 この日の昼休み、輝也は甘い匂いの立ち込める学校の家庭科室を覗いてみた。そこにはパーティーのケーキを作っている中林杏奈(女子12番)の姿があった。

「ジングルベール ジングルベール 鈴がー鳴るー 森にー林にー響きながらー♪」

と楽しげに歌いながら。彼女の趣味はお菓子作りである。彼女は将来ケーキ屋になりたいという。楽しく仕事できるのはいいことだ。輝也と違って作るのが上手いし。実は輝也、去年の家庭科の調理実習の時に大爆発を起こしてしまったのだ。あの時は電子レンジが壊れて大変だった。幸い怪我した者はいなかったが…

「おい、輝也!」

と不意にトーンの低めの声が聞こえた。

「あれ?唐さんも見に来たのか?甫も正志も…」

因みに唐さんというのは財津公太(男子7番)のあだ名である。なぜ唐さんなのかというと公太は中国拳法ことカンフーをやっているのだ。中国の昔の名前の唐をとって唐さんというあだ名ができたのだ。
甫は
松本甫(男子16番)。彼は輝也のいとこであり幼馴染でもある。中学生風の外見でいつもニコニコしていて、たまにふざけるときがある。
正志は
夕張正志(男子20番)。彼は至ってクールな性格でIQが224もあるためこの4人のリーダー的存在になっているのである。

「もしかして輝也、中林を後ろから襲って犯っちゃおうとか思ってんじゃないのかぁ〜?」

と甫は輝也をからかいながら言う。

「そんな訳ねぇだろバカがぁ〜!!!!!」

と輝也は顔を赤くして甫を追いかけ回す。

「おいおい冗談に決まってるじゃん輝也〜」

と甫は逃げながら言う。

「冗談きついぜお前!」

と輝也は甫を捕まえて言う。
それを見ていた正志は口を開く。

「おいおい、騒ぐのはクリスマスパーティーの時にしようぜ?」

「それもそうだな。」と2人は頷く。

そう4人が騒いでいた時だった。

「あ、窪山君。このケーキおいしそうでしょ。」

杏奈がしゃべりかけてきた。
輝也はこくりと首を縦に振った。大きく大きく。

「本当に?ありがとう。ウフフ。」と杏奈は照れ笑いをした。

「じゃあ今日のパーティーでそのケーキを食う時を楽しみにするよ。」と4人は言い、去った。

 

 

 6時間目、佐々木麗子先生はこの時間をパーティーの準備時間にした。

「先生!今から何か買いに行ってもいいんですか?」

と同人少女・畠野遙(女子15番)は質問した。すると先生は

「はい、もちろんかまいません。」

と答えた。遙のことだ。何か漫画かなんかの飾りが欲しいんだろう。
あと、先生が外に出て何か買ってきていいと言ったのはパーティー会場の市民ホールまで移動する途中にスーパーマーケットなどが近くにあるのもあるし、みんなが何も持っていないというのも予測したんであろう。

 先生は3日前、宝くじで100万円を当てたのだ。今教室にいる生徒にはそのことは話した。あと買い物に行く際にはお金を渡すことと残りの生徒の仕事のことを話した。教室にいないのはギャングとつるんでいて凶悪無比な大芦暁(男子2番)・動きがトロトロもさもさしてるために不良たちにいつもいじめられ、パシリにされている鹿沼諒介(男子4番)・不良で成績が悪く、先生によく目をつけられているがさほど悪いやつではなくこのクラスにまあまあ馴染めている成沢烈(男子13番)・遊び人のナンパ師で髪の毛が真っ赤っ赤な角田朱雀(男子3番)・同じく遊び人で遊ぶことなら何でも拒まぬ須藤賢刻(男子9番)・遊び人のリーダー格で容姿端麗な茂木海馬(男子17番)・遊び人見習の森岐春人(男子18番)・ピンク色のめがねをかけていて乙女チックな遊び人の麻田歌(女子1番)・家がお金持ちな遊び人の椎本湯女(女子9番)・遊び人女子リーダー格で髪の毛を桃色に染めている天色さよ(女子11番)・髪を膝ぐらいまで伸ばしている遊び人の柳館儚(女子21番)・女子不良3人組(このグループはリーダーの月野美子(女子10番)とその取り巻きの浦島由起子(女子3番)緋村杞襟(女子16番)の3人で組成されている)、ハープを弾いている萌黄朱音(女子18番)中林杏奈(女子12番)の16人である。
暁は廊下で不貞寝、諒介は暁に無理矢理そこに居させられ、遊び人8人はマジックの練習、美子・由起子・杞襟の3人は学校にすら来ていない、朱音はハープの練習、杏奈は第1話参照の通りケーキを作っている。
そして、
上田貴充(男子1番)は言った。

「先生、僕は水紀と飾り作りをします。」と。

貴充と楜沢水紀(女子5番)の2人はクラス公認のカップルだ。飾り作りはこの2人で始められ、貴充の無二の親友でこのクラス屈指の善人・津久井准平(男子12番)とヒステリックな根来塔子(女子14番)としとやかで美人な前山茄子(なこ/女子17番)と身長147cmしかないマスコット少女・森谷鳥(女子19番)で絵を描き始めた。クラスのお笑い代表でとても親しみやすい性格の沢村祐二(男子8番)はパーティーを盛り上げるためのグッズ、クラス1の巨漢で老け顔をした剣道の達人の田中孝明(男子11番)とその弟子分の星桂一(男子15番)は抹茶を(おいおい、クリスマスも抹茶かよジジイ侍はよーと窪山輝也(男子6番)は思ったが)、お茶目な感じの和風少女・八木槙穂(女子20番)はキャンドル、日本人形のような外見でのんびりした性格の美人の夷森美和(女子4番)は花を買いに行った。一方輝也達4人は大阪人・安西ゆかり(女子2番)・ボーイッシュで活発な小西夏夜(女子6番)松本甫(男子16番)の想い人であり、彼の世話を焼いていて、良いスタイル・ぱっちりした瞳・ショートヘアーのさらさらした髪が特徴の魅力的な女の子の桜庭千紗都(女子8番)・女子委員長でしっかり者、2箇所縛った髪の毛がトレードマークの元気一杯な新田魔未(女子13番)とスーパーマーケットへ買い物に行く話をしている。

「じゃあスーパーへ急ごうぜ」と輝也。

「クリスマスなら七面鳥食べたいよね」と夏夜。

「まあ色々と買おうじゃないか。」と夕張正志(男子20番)

「そやなー。バーンと高価な物買わへん?先生今ごっつうお金持ってるみたいやし。」とゆかり。

「あと肉まんも食いたいな」と財津公太(男子7番)

「シャンパンも忘れちゃダメよ。」と魔未。

「ならアルコール多めのシャンパンで千紗都を酔わせて抱きつかせよ!」と甫。

「もー、変なこと考えるんだから〜。」と千紗都。

そして8人はスーパーへと向かった。
こんな楽しいパーティーの準備なのに仕事を怠っている者もいる。
居眠りの常習犯でその割には意気地なしの
川嶋謙路(男子5番)は寝ている。謙路の親友でありゲームおたくの関山裁矢(男子10番)はこんな時にまでゲームボーイをやっている。がり勉で根暗な脇本義武(男子21番)はこのごにおよんで黙々と勉強をしている。しかし、この3人は他人の邪魔をしないだけいい。さっきっから人の邪魔ばかりしているのは野口康利(男子14番)である。彼についてはマイナス印象しかない。人が書いたラブレターを黒板に貼り付けたり、食事中にうんこなどと汚い言葉を言ったり、すぐ人の秘密をばらしたり、教室に毛虫を持ってきたり、その他皆の嫌がることばかりやっているためクラスの嫌われ者No.1となってしまったのである。今回はクリスマスの絵に卑しいことを書いたり、つまみ食いしたり、飾りなどを壊したりとろくなことをしないもんだ。康利が邪魔ばかりしていたので塔子はキレた。

「野口!人の邪魔ばかりしてんじゃないよ!」

しかし、康利は逆ギレした。

「あん!?このクソアマは女の分際でいい気になってんじゃねーよ。リンチしてぶっ殺すぞ!だいたい女なんて物は男にはいはいと従ってりゃあいいんだよ、バーカ!」

塔子は怒りのあまり黙り込んでしまった。
まあ、それにもかかわらずみんなの協力のおかげで2時間後には無事に終わったが。

 

 

 準備も終わり、今はパーティー開始の15分前の17時45分となった。しかし、1人パーティーに参加できなくなってしまった生徒がいた。それは津久井准平(男子12番)である。彼は理由を皆に話した。

「俺、本当はパーティーに参加したいんだけど…実は俺の義父さんが輸血が必要になったからそっちに行かなければならなくなったんだ。本当にゴメン!」と

そして去って行った。
実は准平、幼い頃に両親を亡くしてしまってから施設で育った。が、ある日、准平はある夫婦に引き取られた。その夫婦は准平を本当の子供であるかのように大切にした。しかし、2年前にこの夫の方は白血病にかかってしまったのである。一方妻の方はそのショックで寝たきりになってしまったのである。准平は今こそ恩返しの時だと思い、輸血をすることにした。血液型がO型同士だったので。
 准平が去ったと同時に
大芦暁(男子2番)鹿沼諒介(男子4番)の2人が来た。諒介は暁に一緒に来ないとぶっ殺すと脅されたため一緒にいたのだ。諒介は『クリスマスパーティー』の文字を見てほんの一瞬表情が明るくなった。しかし暁の怒鳴り声によりすぐに現実に引き戻されてしまった。

「カスの分際でクリスマスパーティーなんかに参加する権利があるとでも思ってんのかコラ!」

暁は震える諒介の腹を思いっきり蹴飛ばした。諒介はその場で立ちながら咳き込んだ。暁の後を諒介ものろのろと追っていった。
いつか絶対復讐してやると諒介は思っていた。
その後、
脇本義武(男子21番)も勉強のためその場を去って行った。財津公太(男子7番)も家が寺なので参加できないと思い、輝也に

「どんなんだったか教えてくれよな。」

と言い残し、肉まん3個だけを持って去って行った。公太はいつも数珠を身に付けているのでわかる。
川嶋謙路(男子5番)関山裁矢(男子10番)はこんなことを話していた。

「俺、ついゲームに夢中になり過ぎてやるべきことを忘れたから参加資格ねーんだよ。本当は準備しようと思ってたんだけど…」と裁矢。

「俺もつい寝てばかりでやることもやらなかったから裁矢と同じだ」と謙路。

この2人の会話を聞いていたのか、サンタの姿に着替えた新田魔未(女子13番)

「あなたたち、本当はやる気あったのね?でも2人とも夢中になり過ぎたことがあってそれを忘れてしまった訳なのね。わかった。今回は許したげるわ。今度からは気をつけてよね。」

と言い、2人の参加を許したのだ。謙路も裁矢も今回サボったことを心から反省したのだ。
野口康利(男子14番)邪魔ばかりした上にはふざけたことを言い出した。

「俺は偉いから邪魔ばかりしてても参加が許されるんだよ。川嶋とか関山みてーな腑抜けとは違ってな!」

この一言にみんなは反感を買った。

「なんなのよあんたは!ふざけるのもいい加減にしなさい!川嶋とか関山はサボったことを反省したんだよ。それにひきかえお前は反省の色1つない…」

根来塔子(女子14番)は怒りを露にした。みんなの代表で。そして塔子は康利にかばんを投げつけた。康利は呻き声を上げた。

「バカ・チビ・デブ・ろくでなし・死ね・ウイルス・下衆野郎・消え去れ」

などと皆は康利に罵声を浴びせた。すると康利は、

「はん、貴様らみてえなクズといたら脳みそが腐るんだよ!」

などと言い、その部屋の扉に痰をプッと吐いた後に蹴飛ばし、去って行った。
みんなの言うとおり康利はチビでデブで髪の毛が整ってなくて容姿はダメ、勉強も運動もまるでダメなただのバカだった。
パーティー開始3分前、
成沢烈(男子13番)はワインを持って現れた。

「クリスマスぐらい酒飲んぢまおーぜ!」

と言った。みんなは賛成する。
松本甫(男子16番)窪山輝也(男子6番)

「もういよいよパーティーの始まりだぞ!」

と嬉さで声を震わせながら話し掛けた。

「そうだ、甫。このパーティーでお前は千紗都にかっこいいとこを見せてハートをゲットしたれよ!」

と輝也は甫に返す。桜庭千紗都(女子8番)は花を持ちながらその花を見つめていた。

 

パーティーは始まった。
芸が行われた。まずは遊び人グループ・
茂木海馬(男子17番)らによるマジックショーが。
斬られ役の
天色さよ(女子11番)の体を木箱に縛りつけカッターでバラバラにした。そしてバラバラになったさよの体を木箱に入れ、黒い布をかぶせるとなんと不思議、元に戻ったのだ。種明かしはこの8人しか知らない。海馬は

「これはあくまでもマジックです。皆さんは決して真似をしてはいけません。」

とみんなに言った。さよは何もなかったかのように(実際、さよには何もなかったが)元気である。
これはみんな大歓声をあげる。
次は
萌黄朱音(女子18番)によるハープ演奏会だ。WE WISH YOU A MERRY X,MAS などのクリスマスキャロルを5曲弾いた。心がとろけるように美しく弾いてくれたので、これも大歓声があがった。
さまざまなゲームもやった。その中でこんなゲームもやった。
『きき握手選手権』というゲームで、1人がアイマスクをして誰かと握手して数人の中から正解の1人を選ぶというゲームだ。
甫がアイマスクをかけてやることになった。
握手の時間。甫は[この手、やわらけぇなー。〕と思いながら握手した。
解答郡は輝也・
沢村祐二(男子8番)・千紗都・さよ・坂本幸恵(女子7番)の5人だ。
正解は、甫にとってはハッピーなことに千紗都だった。
甫は、答えるときにクラス1のブスで性格も芳しくない幸恵でないことを祈った。
確認のため、この5人と握手ができる。
甫は確認をするふりをして千紗都とは13〜14回にわたって握手をしたのだ。
甫は答えた。

「わかった、ち、千紗都だろ〜♪」

と。その顔は少し紅潮していた。千紗都は

「正解。あったしだったのよ。」

と答える。甫は[生きててよかったぜ]と思いながら幸せの絶頂に立った気分に浸った。
他にも『闇カラオケ』・『10円玉は誰の手に』・『もっともっとゲーム』・『ビール瓶キスゲーム』もやった。
最後に食事で盛り上がった。ケーキは大きかったにもかかわらず余る事なく食べられたのだ。

「このケーキ、めちゃうまじゃん!」

角田朱雀(男子3番)は叫んだ。ケーキを作った中林杏奈(女子12番)は感激した。
こうして、パーティーは大成功に終わったのだ。めでたしめでたし

 

 

関山裁矢「これを機にゲームのやり過ぎには注意しよう」
川嶋謙路「これを機に眠気を我慢する習慣をつけよう」
窪山輝也「あー、今日は本当に楽しかったなあ。また来年もやりたいよ」

 

バトロワマン様より、クリスマスSSでした。。ありがとうございました!
すごいですね、クラスメイトをちゃんと細かく設定してますね!
バレンタインもあるそうです、楽しみですね☆

 

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